多数派の安心、少数派の不安
自分は本当はこう思っているけれど、きっと少数派の意見だろうから、言わないでおこう。
そんなふうに、自分の気持ちを飲み込んだことはありませんか?
周りの人がみんな同じ意見を持っているように見えるとき、自分だけ違う考えを持っていることに不安を感じる。反対意見を口にすれば、場の空気を壊してしまうかもしれない。変わった人だと思われるかもしれない。仲間外れにされるかもしれない。
そう考えると、本当は納得していなくても、周りに合わせてしまうことがあります。
多数派にいると安心するのは、ある意味で自然なことです。多くの人と同じ考えを持っていれば、自分の意見が間違っていないように感じられますし、周囲から受け入れてもらいやすいからです。
けれど、多くの人がそう思っていることと、それが正しいことは、必ずしも同じではありません。
多数派だから正解とは限りませんし、少数派だから間違いというわけでもありません。
ただ、私たちは人と違うことに、必要以上に不安を感じてしまうことがあります。
みんなが選んでいる道を選べば安心できる。みんなが持っている価値観に合わせれば、否定されずに済む。そうして周りに合わせることを繰り返すうちに、いつの間にか、自分が本当は何を考え、何を望んでいるのかさえ、わからなくなってしまうこともあります。
もちろん、いつでも自分の意見を主張する必要はありません。場の空気を読んだり、あえて反論しなかったりすることも、大人の付き合い方のひとつでしょう。
大切なのは、周りに合わせることと、自分の考えを否定することを混同しないことです。
今は言わないと決めることと、自分の意見は間違っていると思い込むことは違います。
周囲と違う考えを持っていてもいい。すぐに理解してもらえなくてもいい。自分の意見を誰かに認めてもらえなかったとしても、そのことだけで、自分の考えまで価値のないものになるわけではありません。
そして、あなたが少数派だと思っている意見も、実は同じように感じながら、口に出せずにいる人がいるかもしれません。
誰も何も言わないからといって、全員が同じ考えだとは限らないのです。
多数派の中にいる安心感は、ときに私たちを守ってくれます。でも、その安心を得るために、自分自身を見失ってしまうのは、少しもったいないことではないでしょうか。
周りと同じであることを目指すよりも、自分はどう思うのかを知っておくこと。
そして、誰かと違う意見を持つ自分も、否定せずに受け止めること。
誰かと違うことを恐れるのではなく、違いがあっても共にいられる関係を大切にしていきたいですね。
