印象的な出来事〜指輪〜編その2
その1からの続きのお話です。
N様は既婚者の方でした。相手の方には連れ子さんがいて、自営業でしたが不景気となり、早朝に副業の仕事をしてから自分の会社に出勤をし、家族を必死に支えていらっしゃるがんばるお父さんでした。
前回から10日ほど経ってなんとなく確信が出てきたところで、話を切り出してみました。
私「N様には今でも大切にお持ちのとても思い入れのある指輪がありますか?」
N様はすぐに驚いたお顔で「はい。持ってます」とお答えになりました。
私「『もう、いいのよ』と言っている女性がいます。」
その言葉を言った後にN様の目から涙が溢れてきていました。
若い頃に結婚していた女性がいたそうです。その方はご病気で亡くなりました。
まだ、若かったため彼女は通院するのにお金がかかると遠慮していたということでN様はもっと早く気づいていたら、僕がもっと治療を受けさせていたら…と後悔が残ってしまったと。
守ってやる事が出来なかった。
とても愛していた女性だった。。。
と、話してくれました。
彼女はこんな僕を許してくれているのか…
僕と一緒になって幸せだったんだろうか?
今でもすごく彼女に会いたい…と。
その言葉を聞いている間、私はまた、N様がすごく愛おしくてしかたがなくなってきました。私のはずなのに意識と身体の感覚が切り離されていくような、今にもN様を抱きしめてしまいそうな不思議な感覚になっていました。
頭の中心に優しい女性の存在感が伝わって
感じるままに言葉をお伝えしました。
「指輪をいつまでも見ていないで
私のお墓に埋めて欲しい…」
N様はビックリされていました。
仕事から家に帰り1人になるとその指輪を毎日眺めていたそうです。
再婚しているのに今の奥様に申し訳ない気持ちと、彼女への後悔で苦しんでおられました。
ずっとその姿を亡くなった女性は見ていたのかもしれません。
苦しまなくていいから。幸せになっていいんだから。と、私の心に伝わってきた感覚を言葉にしてN様にお伝えしました。
私を見るN様の目は私を通して愛する女性を見つめていました。
もっと話したい言葉があったはずです。
本当に目の前に彼女がいたならきっと抱きしめたい気持ちで一杯だったんだろうと思います。
しばらく涙を流された後沈黙がつづき…
ありがとうございました…と、N様は頭を下げられました。
この瞬間N様は彼女と本当のお別れをしたのでしょうか…
それとも自分の側にはいつも彼女がいると確信したのでしょうか…?
目に見える世界と目に見えない世界
皆さんはどう感じられたでしょうか?
私は、目の前に触れたい愛する人がいるなら存分に触れておこうと思ったり、
大切な人には愛情を常に感じてもらえる様に接したいな…なんて思いました。
長くなりましたが、わたしだけの思い出のお話にするにはもったいないのでご紹介させて頂きました。
また、皆様とお話できる日を楽しみにお待ちしています(*^_^*)