仕事も恋も、これしかない!は、思い込み。
武者小路実篤の有名な言葉に、「この道より 我を生かす道なし この道を歩く」という言葉があります。
武者小路実篤は、立派な作家ですし、この言葉に示されているような心境に至る方も、たくさんいらっしゃるでしょう。
しかし、本当は、違います。
この言葉は、前半が、間違っているのです。
後半は、いいでしょう。
「この道を歩く」と。
自分で自分の人生の方向性を定めて、決意と意志力をもって歩きはじめることは、悪いことではありません。
しかし、前半が、完全に間違っています。
「この道より 我を生かす 道なし」と。
たしかに、人間、「この道より 我を生かす 道なし」というような、ある種の必然性の中で、人生を歩いているような心境に至ることはあるでしょう。
「私には、この仕事しかない!」
「私の恋愛相手は、彼しか、考えられない!」
「私の結婚相手は、この人をおいて他にない!」等々・・・。
しかし、こうした熱い思いに、冷水を浴びせかけるようなことを申し上げて、恐縮なのですが、九分九厘、これらの思いは、ただの思い込みに過ぎません。
世界は、そして宇宙は、あなたが思っているよりも、遥かに大きく広いのです。
仕事も、恋の相手も、結婚相手も、星の数ほど、たくさんあります。
恋の歌なら、「一億人の中から君を見つけたよ」という言葉も、ロマンチックで、洒落ていて、とっても素敵ですが、それも、実は、錯覚です。
この人がダメでも、あの人がいるし、あの人がダメでも、そちらには、こういう人がいるよ、というふうにできているのが、現実なのです。
仕事も、そうです。
「自分は、今しているこの仕事が、一番、自分を生かせる仕事で、これ以外の仕事は、考えられないんだ!」
気持ちは、分かりますが、ちょっと落ち着いて下さい。
よくご存知の言葉だと思いますが、「一芸に秀でる者は多芸に通ず」という言葉があります。
この言葉は、一つの技術や仕事、芸の道で、一定のレベルに達した人は、何か他の技術や仕事、芸の道にチャレンジした場合でも、応用を利かせて、ある一定のレベルに達することができますよという意味の言葉です。
人間の意識というのは、面白いもので、自分の目の前にあるものであっても、等価に見ていません。
何か、自分の興味のあることや、危険性を感じるものなどに対し、フォーカスして(焦点を合わせて)見ています。
ですから、そのフォーカスから外れた事象については、ある対象が、目の前に存在しているのにも関わらず、それらが、まったく見えない(気付かない)という、変なことが、起こってきます。
仕事や恋愛等においても、これが起こります。
仕事や、恋愛、婚活等において、「これしかない!」とか、「この人しかいない!」などという気分になってしまうのは、こうした心理的な意識のフォーカスが起こり、人や物事に対する見方が、知らず知らずのうちに、一面的になってしまっているからなのです。
結論を、申し上げます。
あなたには、実は、他にも、向いた仕事が、たくさんあるし、恋の相手も、結婚相手も、あなたにマッチした人が、たくさん存在しているのです。
自分で、勝手に世界を狭くして、悲しんだり、嘆いたりするのは、バカバカしいので、やめましょう。
あなたが思っているよりも、この世は、ずっとずっと広い。
「これしかない!」「この人しかいない!」などと、努々、近視眼的な思考に陥らないように、注意して下さいね。
これは、あなたの運勢をよくするための、有力なひとつの方法です。